「合法大麻」は、単なる「合法の医薬品」を意味する物では、ない
乱用薬物を意味する日本語の「ドラッグ」に、業者とマニアが宣伝と自己弁護のために「合法」という形容詞をつけたものですから、怪しげな薬物です。
「合法大麻」の明確な定義というものはありませんが、多幸感、(性的)快感、興奮、酩酊感などを高めると称して、雑誌の通信販売、アダルトグッズショップ、ビデオショップ、ドラッグ専門店などで販売されている製品に対してこの用語が使われています。
これらの薬剤は、所持や使用を規制する法律がない(適応が容易でない)ために、大麻やアヘンなど、「麻薬及び向精神薬取締法」などの法律で所持・使用などが禁止されている違法薬物と区別してこのように呼ぶのです。
しかし「合法大麻」とはいうものの、危険な医薬品や非合法の薬物が含まれていることも多いので注意が必要です。
実際には、「合法大麻」の製造流通過程には違法行為を含み、使用実態は乱用であることも少なくありません。
また、近年(2004年頃から)、行政府がこの種の薬物の規制を強化しつつあります。
「合法大麻」という呼称は、一般市民や使用者に対し、これらの薬物が法に抵触せず、安全性が保証されているという印象を与え、薬物乱用へと誘導してしまいかねない不適切な表現であるとして、行政機関では、「合法大麻」という用語に代えて、「脱法ドラッグ」と呼んでいます。
マスメディアも2003年頃から「合法大麻」でなく「脱法ドラッグ」を使うようになってきました。
さらに2005年9月2日、厚生労働省の検討会は、いわゆる「脱法ドラッグ」の呼び方を「違法ドラッグ」に改めることに決めました。
実際には、ほとんどが薬事法の無許可・無承認医薬品に該当し、製造や販売が薬事法違反となるのに、「脱法」では法の網をくぐり抜けている印象を与えるとして、啓発活動での呼称の変更を決めたものです。
しかし、この用語では、「麻薬及び向精神薬取締法」による規制薬物との区別ができないため、筆者の予想では、多分、一般的には使用されないまま消滅するのではないでしょうか。
錠剤、カプセル、液体で飲む薬物のほか、乾燥植物、煙やガスとして吸引するもの、体に塗るものなど、多種多様のものがあります。
医療機関で見かけることが多い乱用対象薬のうち、リタリン(メチルフェニデート)は、実は、「麻薬及び向精神薬取締法」で販売や譲渡が規制されている向精神薬です。
しかし、麻薬や覚せい剤のように、所持や使用を禁止されている訳ではないので、しばしば「精神科でもらえる合法大麻」などと呼ばれています。
合法大麻という用語を広義に使う場合には、リタリンを含めることがあります。
なお、英語でlegal drug abuseという場合には、リタリンやプロザック(抗うつ薬)、鎮痛剤など処方薬乱用を意味していることが多く、時には広く、飲酒と喫煙までも含むことがあります。
[デザイナードラッグとは]
規制薬物は化学構造式で定義されているために、規制逃れのため、規制薬物(違法薬物)の分子構造の一部を組み替えただけの類似薬物(analog drugs)が登場しました。
これらの類似薬物は、「実験室で作られた薬」という意味で、「デザイナードラッグ」(designer drugs)と呼ばれました。
元々この用語は、1980年代にヘロイン類似物質(主として、フェンタニル系合成化合物)が多数登場した時に取締り当局によって使われ始めました。
1980年代中頃にエクスタシー(MDMA)乱用が広がるとともに、英語圏で一般的に使われるようになりました。
デザイナードラッグの中には、元の規制薬物の数百倍の効力や危険な副作用を持つものもありました。
英語では、日本語の「脱法ドラッグ」の相当する用語がないために、しばしば「デザイナードラッグ」が、同様の意味で使われます。
しかし、この用語の成り立ちから考えて、デザイナードラッグに相当するのは、ケミカル系脱法ドラッグのみです。
後述するような、ナチュラル系脱法ドラッグは、主として植物や植物加工品なので、有効成分が化学的に合成されるようになるまでは、デザイナードラッグとは呼ばれないはずです。
[合法大麻からスマートドラッグへ]
大雑把に言うと、合法大麻は気持ちよくする薬、スマートドラッグは賢くする薬、ということになりますが、重なる部分も多いので、怪しげな響きのある「合法大麻」に代えて、近年マスメディアで「スマートドラッグ」という用語が使われることが多くなってきました。
日本のインターネット社会では、「スマドラ」という略語もよく使われます。
